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絆 1

last update تاريخ النشر: 2026-03-23 12:14:02

 ムツヤ達はアラクネ討伐を依頼したアサヒの村へ戻らずにそのまま東へ向かう。

 ユモトが「報告をしなくて良いのですか?」と聞いたが、アシノは「放っとけ」と言っていた。

 また道中青い石を埋めて、ムツヤ達は東の街を目指す。

「今度行く街は『イタガ』って言って私の育った街なんだー、久しぶりに帰るから楽しみー!」

「へぇー、そうなんですね」

 野営の準備中ルーが笑顔ではしゃぎながら言うとユモトは相槌を打った。

 パチパチと燃える焚き火を囲んでムツヤ達は何気ない話をする。

 次の日になり、一行はイタガの街を目指す。前衛のモモとユモトは修行の成果が出ているようで、軽やかにモンスターを片付けていく。

 そうしている内に遠くに街が見えた。

「あー、あれあれ!! 懐かしー!」

「嬉しそうですねルー殿」

 ニコリと笑ってモモは言う、ルーは身長の低さも相まってはしゃぐ子供のようだった。

 しばらく歩き、ルーは街の目の前に来るとそこら中を見て言う。

「うんうん、どこも変わってない。忙しかったから1年ぶりかなー。私の実家に案内するわ」

 街を歩きながらルーは知り合いに片っ端から挨拶をして回った。そして街の奥の
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  • 裏庭が裏ダンジョンでした   偽装ランデブー大作戦 2

     ユモトとタノベは店に入る前に言っていた通りモンブランケーキと紅茶を注文していた。「あ、あの、わ、私達も何か注文をしましょうか?」「そうですね、モモさんはモンブランが良いんでしたっけ?」「そ、そうですね!」 店の雰囲気と目の前にムツヤが座っていることにモモはソワソワと落ち着かずにいる。「それじゃあ俺も一緒で良いかな」 テーブルに置かれた連絡石に触れると店員がやってきた。ムツヤはモンブランケーキと紅茶を注文する。「そういえばモモさんと2人きりで食事をするのって久しぶりですね」「そうですね!」 モモは短い言葉でしか受け答えが出来なくなっていた。「初めて一緒に冒険者ギルドで食べたペペカグ美味しかったなー」 そんな事まで覚えているんだと何だかモモは嬉しくなった。「そうでしたね、何だかつい最近のような、ずっと昔の事のような、不思議な感覚です」「いろんな事がありましたからねー」 と、ここでモモは気付く。自分達のやるべきことはタノベの監視であり、おしゃれな喫茶店でムツヤ殿とお茶をすることではないと。「っと、ムツヤ殿、ユモトがどうなっているか見ておかなくては」「あーそうでしたね」 2人はユモトのテーブルに聞き耳を立てた。楽しそうなお喋りが聞こえる。「僕、こんなおしゃれな喫茶店に来たの初めてかもしれません」「そうですか、ならば来てよかったです」「はい、ありがとうございます!」 そう言ってユモトは笑顔を見せる。眩しくてタノベは直視できずに視線をそらしてしまった。「何かいい雰囲気ですね」 モモは見て言った。その光景は、店内にいる誰もが男2人でお茶を飲んでいるだなんて見抜けないだろう。「あ、えっと、そ、外、晴れてよかったですね」 タノベは2人きりになった緊張からかガタガタと震えている。バイブレーションタノベだ。「そうですね、気持ちの良い天気です」 視線を外に向けながら柔らかくユモトは微笑む。その時ちょうどユモト達2人の席に紅茶とケーキが届く。「うわぁー、美味しそう!」 目をキラキラと輝かせて言う。タノベはそんなユモトを眺めていた。「それじゃ頂きましょうか」「はい、いただきます!」 ユモトは紅茶を1口飲んでからモンブランケーキを食べる。口の中に広がる甘みと栗の風味で幸せな気分になった。「このケーキ、とても美味しいです!」「

  • 裏庭が裏ダンジョンでした   偽装ランデブー大作戦 1

     ムツヤの闘技場での戦いが終わり、夜が明けて朝になる。 ユモトはこの世の終わりみたいな顔をしてガタガタ震えているが、ルーはニコニコ笑顔だった。「ダイジョーブダイジョーブ。私達もずっと後を付けて見てるから!」「ルーさん楽しんでません?」 ユモトがムスッとして言うとルーは視線をそらす。「ソンナコトナイヨー」 あ、絶対楽しんでるなと皆が思った。 ユモトが待ち合わせの場所に向かうとタノベの姿があったが、隠れて眺めているルー達はその姿を見て驚愕した。「え、何あの格好……」 珍しくルーが引いている。タノベはダメージ加工が施されたボロボロのズボンに白のインナーと青いジャケットを羽織っていた。「何あれ、何なの? 何か戦いでもあったの? 何であんなボロボロなの!?」「あー、アレは王都で流行ってる、わざとズボンをボロボロに加工した奴だ」 アシノが言うとルーは信じられないといった声を出す。「何でそんなのが流行ってるの!? 意味わからないんですけど!!」「えー? カッコよくないですか?」 ムツヤが言うとモモが「えっ」と言って振り返る。「あれはだな。男はカッコいいと思って履くらしいが、女受けは物凄く悪い不思議な服だ」「あれが…… カッコいいのですか?」「私にも良さは分からんが」 モモは絶対ムツヤには履かせないと誓っていた。その横でルーは腕を組んで何かを考え出した。「んー、でもユモトちゃんは男だし、ある意味正解? いやでもデートでアレは清潔感が…… あーもう頭がこんがらがってきた!!」 ユモトはタノベの元へ小走りで行く。「すいません、待たせちゃいましたか?」「いえ、俺も今来たばっかりの所です」 タノベは笑顔で答える。実は1時間以上前から待っていたことは誰も知らない。「えっと、その、今日はよろしくおねがいしますね!」 ユモトがはにかんで言うとタノベはドキッとしながら返事をする。「いえ、こちらこそ」「真面目か! 二人共真面目か!!」 ルーは隠れながらツッコミを入れていた。「と、とりあえず、その、お茶でも飲みながらお話をしませんか?」「そ、そうですね、良いですね!」 ギクシャクしている男2人を見てルーはモヤモヤしている。アシノは興味無さそうに腕を組んで見ていた。 タノベとユモトは身長差があり、歩幅も違う。今はタノベの歩みにユモトが無

  • 裏庭が裏ダンジョンでした   決闘するなよ、俺以外のヤツと 4

    「それでだ、闘技場は大きくわけて3種類の試合がある。1つは木刀を使って魔法の使用は禁止の、通称『子供の喧嘩』って言われてる試合形式だ」 全員がアシノの話を聞きながら歩く、ルーは知っているらしく少し退屈そうだったが。「次が武器の使用が認められているが、魔法は禁止の試合。これは剣士の試合だな。そして、武器も魔法も何でもアリの試合だ」「つくづく思うけどさー、闘技場って魔術師に不利よねー」「魔法のみの試合や団体戦もあるが、この辺じゃあまりメジャーじゃないからな」 なるほどと全員が理解したと同時に闘技場へ着いた。アシノが入場料を払って皆で観客席に座る。「ちょうど試合が始まる頃だな。午前中だから木刀の試合だ」 木刀の試合はあまり人気が無いらしく、観客席はまばらだった。 ファンファーレが鳴ると北と南の門が開き、防具を身にまとい、木刀を手にした男がそれぞれ入ってきた。 闘技場の中央の審判の近くまで歩き、木刀を構える。 すると審判が天に上げた手を振り下ろした。これが試合開始の合図だ。 大声で叫んで男が突っ込むと相手は斜めに木刀を構えて受け止めようとするが、叩きつけるように降ろされた木刀に体が持っていかれてよろめく。 そのスキを逃さずに…… 行くものだと思ったが、2人は距離を取ってにらみ合いになる。その後もカツンカツンと迫力のない攻防を繰り広げていく。「あの、何ていうか……」 苦笑いをしてユモトは言った。「まー、宿場町の小さい闘技場で、しかも木刀の試合っつったらこんなもんだな」 あくびをしてアシノは言う。「ひょうよ、これふぁひょひんひゃのふぁふぁふぁいよ!」 ルーの姿が見えないと思っていたら売店で買ったケバブを頬張っていた。「汚えから食いながら喋んな!!」「んっ、ちゃんと皆の分も買ってきたわよ」「あ、ありがとうございます」 ユモトは受け取り礼を言った。ムツヤ達もそれと同じ様に受け取る。「んー、これ美味しいでずね!!」「でしょー?」「確かに、食べたことのない味ですが美味しいです」 皆、試合のことはそっちのけでケバブに夢中になっていた。「って、飯食いに来たんじゃないんだぞ!」「あれー? ケバブ食べながら言っても全然説得力無いんですけど?」 ルーに指摘されアシノは少し赤面する。「いや、お前が買ってくるのが悪い!」「何よその言い方

  • 裏庭が裏ダンジョンでした   決闘するなよ、俺以外のヤツと 3

    「一般の冒険者だったら指先だけだろうがお前が負けることは無いだろうが……」 アシノはムツヤをチラリと見た。「強すぎるんだよなぁ……」 はぁーっとため息をつく。他の皆も相手を秒でぶっ飛ばしているムツヤの姿が容易に想像できた。「負ける心配は無いでしょうが、ムツヤ殿が目立ってしまいますね」「だな、誤解を解くか、急いで街から逃げてバックレちまうか。どっちかだな」 どうしたもんかとアシノは天井を見つめる。沈黙で気まずい部屋にノックの音が転がった。「んー? こんな時間にだーれー?」「キエーウの奴かもしれん、ムツヤ、お前が開けろ」 頷いてムツヤはドアを開ける。そこに立っていたのはドアノブに手を掛けているタノベの姿だった。「なぁ、やっぱやめとこうぜ?」 後ろには冒険者仲間のフミヤも居る。彼はタノベを止めようとしていた。「あらー、何でここが分かったのかしら?」 ルーは冷や汗をかきながら引きつった笑顔をする。「酒場から後ろを付けてきました!」「そういうのストーカーって言うんだぞ」 アシノはジト目でタノベを見つめていた。部屋を見渡してタノベはプルプルと震える。「1つの部屋に女の子を集めて…… あなた、エッチなことしたんですね!!!」「しとらんわ!!」 アシノがツッコミを入れるがタノベは引き下がらない。「部屋に女の子を集めて男が1人だけ…… 何も起こらないはずが無いでしょう!!!」 ルーとアシノは珍しく同じことを思っていた。「あーコイツめんどくせー」と。「タノベ殿、ムツヤ殿が言っていたハーレムというのは誤解なんだ」「じゃあこの状況は何ですか!?」 モモが弁明をするが、あまり意味がなかったみたいだ。「あー、じゃあ論より証拠っつーわけで。ユモトお前が男だって証拠見せてやれ」「な、ななななにを言ってるんですか! こんな可愛い子が男の子のはずがないでしょう!?」 タノベは慌てて言う、ユモトは赤面してそれを聞いていた。「僕が見せてムツヤさんの疑惑が晴れるのならば……」「そうよ! 減るもんじゃないし!」 ユモトは服の裾を持ち上げてその宝物庫の宝玉を御開帳しようとしている。「ユモトさん!? そんな事しちゃダメです! おのれ、こんな変態じみたことをユモトさんにやらせるなんて……」 タノベはすぅーっと息を息を吸って吐く。そして鋭い眼光でムツヤ

  • 裏庭が裏ダンジョンでした   決闘するなよ、俺以外のヤツと 2

    「えっと、突然お邪魔して申し訳無い。俺はタノベと言います」 軽く自己紹介をすると返事が帰ってきた。「こんばんはー、俺…… じゃなかっだ、わだしはムツヤって言いまず」 酔っ払った上に訛っているが、敬語を使っている辺りいいヤツなのかもしれないなとタノベは認識を改める。「私はモモだ。訳合って今はムツヤ殿の従者をしている」 オークの女はそう言う。従者をしているとはどういった事情なのだろうかと少し考えた。「ヨーリィです、ムツヤお兄ちゃんの妹です」 あまり似ていない兄妹だなと思った。短く言うとヨーリィはアスパラガスをむしゃむしゃ食べ始める。「えっと、ユモトです。よろしくおねがいしますね!」 美人ぞろいのパーティだが、やはりタノベにはユモトが一際輝いて見えた。「どうもどうも、よろしくお願いしまーす! 所で皆さんはどういう集まりなんですか?」 フミヤは酒を飲みながら尋ねる。すると一瞬空気が重くなった気がした。「そんなのどうだっていいでしょーよー!」 ルーはフミヤの背中をバンバンと叩く。「そ、そうですね、僕たちはただの冒険者の集まりですよ」 明らかに何かをはぐらかされている事にタノベは疑問を持ったが、知り合ったばかりの相手達に深入りはやめておこうと何も聞かないことにした。 その後は他愛のない話に花を咲かせたる。冒険者の面白話に笑ったり心配した顔をしたりするユモトにタノベはより惹かれ始めていた。「それじゃあ皆の夢って何なの? 俺は冒険者としてお宝を探して一攫千金当てること!」 フミヤは自分の夢を語り始めた。見ているこっちが恥ずかしいとタノベは視線を持っているジョッキに移す。「私もお金持ちになりたーい!!!!」 ルーは両手を上げて騒いでいる。「私はムツヤ殿の夢を叶えることだ」 モモは酔って少し赤くなった顔のまま目をつぶって言った。「私は大切な人を守ること」 珍しくヨーリィも話に乗っかった。意外なことにムツヤ達の視線が集まる。「その大切な人ってルーお姉ちゃんの事かなー?」 うざ絡みに対してヨーリィはジュースを飲んでスルーをした。「え、えーっと、僕は…… いえ、僕もムツヤさんに恩返しがしたいです。なのでムツヤさんの夢を叶えてあげることですかね」 ユモトもぽやんとした顔をしながらもじもじと言う。「まー、恩返しってんなら私もムツヤっちに

  • 裏庭が裏ダンジョンでした   決闘するなよ、俺以外のヤツと 1

    「ムツヤ、魔力が一気に回復するポーションでも無いのか?」 アシノがムツヤに聞いてみると当たり前のように「ありますよ」と返事が来たが、ルーが待ったをかける。「ムツヤっちならまだしも、ユモトちゃんが魔力を一気に回復させたら体中の魔力のバランスが狂ってショック死しちゃうわよ!!」「確かに、危ないかもしれませんね」 ユモトもあははと苦笑いをする。魔力は普通に売られているポーションを使っても回復を促進させるだけで、急な回復はしないのだ。「んなことは知ってるけどよ、コイツなら副作用なしで回復するモンでも持ってんじゃないのかって聞いてみただけだ」 一応アシノはムツヤが取り出したオレンジ色の薬を受け取って眺めてみる。そしてルーに渡した。「ちょっと舐めてみていい?」「おう、死ぬなよ」 好奇心に負けて手のひらに1滴薬を垂らし、ルーは舐めた。瞬間ビリビリとした感覚が口の中に広がった。「うえええええ、純度高すぎ!!! 水ちょうだい水!!」 ルーはバタバタと騒ぎ始め、ムツヤが水を渡すと一気に飲み干す。「あー、確かにこれは効くわ。でも研究してから使ったほうが良いかもね」 ルーは口から水をこぼしながら言う、仕方ねえなとアシノはユモトに尋ねる。「次の街まで後ちょっとだ、ユモト歩けるか?」「は、はい大丈夫です!!」 大丈夫と言うがユモトの顔色はあからさまに悪かった。「ムツヤ、おぶってやれ」「わがりまじだ」 アシノに言われ、ユモトが遠慮するより早くムツヤは背負い上げる。「ユモト、無理な時は無理と言うのも大事だぞ」「あ、えっと、すみません……」 そう言ってユモトはムツヤの背中に顔をうずめて抱きついた。何故かいい匂いがするがユモトは男だ。「モモは大丈夫か? ヨーリィも平気か?」 アシノは他の仲間の無事も確認した。「はい、私の怪我はもう治りましたので」 モモは胸に手を当て言い、ヨーリィも返事をした。「私はもう体を維持するだけの魔力は貰った」「それじゃ出発するか、日が暮れるぐらいには街に着くからな」 予定時間よりはだいぶ遅れたが、ムツヤ達は街を目指して歩き出す。 日が暮れてしまったが、まだ明かりを付けなくてもも周りが見えるぐらいの頃、ムツヤ達は街へと着いた。「着いたぞ、ここがカラスギって街だ」 アシノが軽く街の名前だけ言う。まばらに光を放ってい

  • 裏庭が裏ダンジョンでした   イタガ攻防戦 3

    「……、どういう事よ」 ルーはジト目でアシノを見つめた。「ここを私達の拠点にして彼奴等を迎え撃つんだよ」「この様な場所で良いのでしょうか?」 ユモトも不安そうに尋ねた。アシノは一体何を考えているのだろうと。「こんな場所だから良いんだよ、ここは街が近いからどこから攻められてもすぐに駆けつけられる」「それなら街の中に居れば良いじゃない!!」 ルーがもっともらしい意見を言うが、アシノは首を振る。「ぶっちゃけた話、あの魔人に抵抗できるのはムツヤぐらいしか居ない。だが、ムツヤは正体を隠さなくてはいけない」「そんな事知ってるわよ」「だからムツヤには正体不明の冒険者になって貰わなくちゃ

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     藁にでもすがりたい思いのモモは目の前の男を信じてみることにした。 妹も仲間もどの道、何らかの手を施さなければ死んでしまうかもしれない。「信じるな! そいつは嘘を付いている! そんな薬が存在しているはずがない!」 声のする方をモモとムツヤは同時に見た。 茂みに殴り飛ばされたオークの一人が顔を抑えながら立ち上がり、モモに警告を入れる。「バラ…… しかしもう何も手が……」 バラと呼ばれたオークの男は脳震盪から回復し、その間は体が動かせなかったが、数分前からぼんやりとした意識はあった。 そして、二人のやり取りを聞いていて思った。自分は一瞬で治せるが他人は治せない魔法

  • 裏庭が裏ダンジョンでした   一番てっぺんに! 3

     ムツヤは『割ると辺りのクサイ匂いが消える青い玉』を触手トカゲの消えた場所に投げる。 これは割れた場所を中心として、約半径30メートルの空間に漂うどんな有害物質でも除去できる代物なのだが、普段は使い道が見つからないのでトイレのちり紙の横に山積みにされていた。 大きい方をした後のエチケットだ。 もちろん、これも外の世界で1玉売れば1週間は酒場で豪遊が出来る価値がある。 部屋は快晴の空の下で心地の良い風が吹いたように、爽やかな空気になった。 さっきまでの匂いを嗅いでいたムツヤは普段より余計に清々しく感じている。 ムツヤは知らない事が多い。 触手トカゲの吐き気を催す臭いは、常人であれ

  • 裏庭が裏ダンジョンでした   一番てっぺんに! 2

    「外の世界は危険だ、お前が行ってもすぐに怪物の餌食になってしまうだろう」 組んでいた腕を崩してタカクは続けて言う。「しかし、あの裏の塔の最上階にまで行けるぐらい力を身につけたらこの結界を解いて外の世界へと行かせてやろう」 その言葉を聞いた日からムツヤは塔の最上階を目指す日々が始まった。 物心が付く前から塔の60階までは冒険をしていたムツヤだったが、そこから先の階段には『触手だらけのキモいし臭いしデカイトカゲ』が居る。 近付きたくなかったので、いつもそこまで行って帰ってを繰り返していた。 それでも塔は毎回入る度に使い道も名前も知らないけど、面白そうな物がたくさん落ちている。 そし

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